2013年6月20日木曜日

「歯」について想うこと その2「幼児期に歯が生え変わるのは」

<前回からの続き>

 約1週間後に 歯科医院を訪れ、私は「3本まとめて処置してください」と私なりの結論を伝えました。
先生は「了解しました お任せください」と、前回の口腔内写真とレントゲン写真で、今後の処置の説明を受けました。
 しかし、そこで私は いつもの癖で屁理屈を捏ねたくなり、
「先生 患者としての気持ちを少し言わせてもらっていいですか」
「はいどうぞ ご遠慮なくいってください」
「有難うございます。失礼を承知で 言わせてもらいます。
 歯医者さんは 患者の虫歯がひどくなると 大抵の場合抜いてしまい 後は 入れ歯や差し歯をして終わり、というのが普通ですが・・・
何故 自前の歯を生えるように出来ないのですか? 誰でも 幼児のころに 乳歯が抜けて永久歯が生えてきたのに その仕組みを再現することが何故出来ないのでしょうか? 
他の動物は 一生歯磨きもせず、歯医者も居なく、中には何度でも歯が生え変わり続ける動物(例えばサメなど)もいるのに・・・
ノーベル賞を頂いた山中先生の iPS細胞は歯よりも もっと複雑な臓器を創り出すことが可能になったそうじゃないですか 何とかしてほしいなー・・・」
 
「おっしゃる事は 尤もなことだと思います。歯医者も頑張って研究しておりますが、今の段階では ようやく動物実験で自前の歯を再生出来るようにするところまで来ています。しかし、歯の生える向きがコントロール出来ず、それを乗り越えないと実用にはなりません。したがって、人に適用されるまでには、まだまだ乗り越えるべきテーマがあり、我々の生きているうちには 間に合わないでしょうね。・・・
 なにしろ、人の永久歯の生える仕組みが分かったのも最近で、その仕組みは、女性の卵子と同様に、母体内で胎児の段階に準備され、決定しているらしいのです。まさに「神の領域」と言われる神秘的な世界らしいです。
 でも眼医者さんが、目が悪くなったからと言って、余程の事がない限り患者の目をくりぬいたりはしません。それと同様に、歯医者も もっと患者さんの身になって、簡単に歯を抜かずに治療するとか 自前の歯が生えてくるような努力をしないといけないと思っています。」
                                                               <次回につづく> 田村順造