いま本屋さんで、ものづくりに関する書籍を見ますと、沢山の出版社から大勢の著者による「トヨタ方式」の解説書で埋め尽くされています。私も長く、ものづくりにかかわってきましたのでトヨタ方式も学び、単に製造現場だけでは無く、工場に必要な機能をすべて網羅し、具体的な取り組み方法を学べる大変素晴らしい技術であると思っています。
しかし、もう一方で自動車を作るトヨタ方式がものづくりの世界で万能かと考えますと、少し気になる点もあります。その一つは「設計変更」を考えてない事、もう一つは、無駄を省いて必要な仕事に絞って行ったあとで、その仕事を科学的な方法で改善する技術の不足です。
大規模な生産システムが必要で、完成度が高い自動車は、工場から簡単に設計を変えろとは言えませんが、皆さんの会社では変更がそれほど困難ではないのではありませんか、ここに最大の合理化の種があります。
RWF(Ready Work Factor)は19世紀の末から盛んになった作業改善への取組の中で、多くの研究者たちの半世紀に及ぶ研究開発の結果を集大成したとも言える技術です。人の作業を動作に分けて、動作の困難性に応じて定められた時間値を与えるもので、作業の効率を高めるには大変有効な手法です。
日本が世界の工場になって行った1960年代から70年代にかけて多くの大企業が取り入れ、大きな成果を挙げました、その後、合理化の中心が機械化、無人化になって行くに従って、今では忘れられた技術になっています。
しかし、現在も日本でものづくりを続けている中小企業にとっては有効な技術である事は間違いありません。ATACでは、皆さんのお役にたてるよう、この忘れられた技術であるRWFを掘り起こし、分かり易いテキスト・教材を用意しました。
その第1回講習会を4月16日からスタートします、参加者が必ず使える事を目指して、少人数で、講義だけでなく現場での実習も組み込みます、トヨタ方式で絞った雑巾を、さらに絞る技術ですので、この機会を貴社の発展に活かしていただけたら幸いです。
吉田良耿