2014年1月11日土曜日

イタリア生まれのコンピュータARDUINO

 今年のお正月は久しぶりに時間が取れたので、かねてより気になっていたArduino UNO(アルデュイーノ ウノ)というマイクロコンピュータを動かしてみました。


図1 Arduino UNOの入った箱
 コンピュータの入った箱はキャッシュカードより小さく、ちょっと気になる「永久保証」の文字が目に入ります。(図1)
 箱の裏にはさりげなくイタリアの地図が描かれています。(図2)
 箱を開くとさらに小さな掌に乗るマイコンボードが出てきました。重さはわずか28g、パソコンと接続するUSBコネクタがやたらと大きく見えます。

 
最初に必要なのがネットからArduinoのプログラムを開発するIDE(統合開発環境)のダウンロードです。
図2 箱とボードに書かれたロゴマーク

Arduino IDEは無償で利用できるソフトウェアです。
  再びボードに目をやると、基板の上下にずらっと入出力端子が並んでいます。(図3)



 
図3 掌に載せたARDUINO UNO
説明では14本のデジタルI/Oピンが利用可能
で、そのうち6本はPWM信号を生成でき、他に6本のアナログ入力があります。端子の電流能力は20mAと書かれているのでLEDぐらいなら直接点灯が可能ですし、外にトランジスタを付けるとモータやアクチュエータも立派に動かせます。
 ネットから取得したArduinoのIDE(統合開発環境)はエディター、コンパイラー、基板へのファームウェア転送機能などを含み、C言語でプログラムを作ります。プログラムのベリファイ機能を通してOKとなればプログラムをボード上のマイコンに転送し、パソコンと分離しても動作できるものです。

 ちなみにArduinoではプログラムを「スケッチ」と呼びます。ボードと一緒に購入した解説本は開発者のイタリア人の著述を直訳したもので、「パルメザンチーズを取ってくれ」などのイタリアらしい表現に溢れていてとても面白いものです。

 Arduinoプロジェクトは2005年にイタリアで始まり、「デザイナーなど、電気やソフトにあまり詳しくない人が思った事を簡単に実現できる仕組み」 を安価で簡単に使用できるコンピュータとして実現したもので、「フィジカル・コンピューティング」とも呼ばれています。

 思い返せば1970年代の終わりごろ、民生用の4ビットマイコンを初めて商品に搭載するときは開発環境も開発ツールもきわめて貧弱で、辛酸をなめた記憶があります。

 このボードコンピュータの価格は3000円ほどで、興味を持つ中学生、高校生でも十分に使えるもので、ロボットの制御や簡単な生産設備の制御にも使える能力があります。
 ワンチップマイコンは日本が開発と応用を主導し、今でも日本メーカが世界トップの占有率を持っていますが経営的には厳しい状態から抜け出ていません。
 ところで、Arduino UNO(アルデュイーノ ウノ)のUNOは調べるとイタリア語の1ですが、私には「右脳」と聞こえました。

 右脳は直感や創造性、空間認識、音楽、イメージなどの働きをしていると聞きますが、まず若い学生や電気の専門家以外が楽しく開発できるシステムを作ったイタリア人の発想に感心しました。
テキストと簡単な実験回路部品を含んだキットが6000円ぐらいで手に入るので、興味のある方はトライしてみて下さい。                                                                  坂井公一