終わってみればソフトバンクの圧勝で終わった今年の日本シリーズですが、唯一観客を沸かせたのはヤクルト山田のシリーズ史上初の1試合3連発でした。
スポーツ選手が試合で実力を発揮できるかは日頃の鍛錬や、コーチやトレーナのサポート、相手投手との相性など様々な要因が関係すると思われますが、選手自身の体調の周期性と関連があるか調べてみました。
バイオリズムはドイツのベルリンで開業していた耳鼻咽喉科・外科の医師ウィルヘルム・フリース(Wilhelm Fliess, 1858-1928)が1897年に提唱した概念です。
フリースは医者として、患者の容態変化から23日の身体周期と28日の感情周期を見出しました。各リズムは、生まれた日を基準とする同じ振幅の正弦波として表されるとしました。
シーズンでトリプル3を達成し、本塁打38本を打った山田の生年月日は1992年7月16です.
2015年のシーズンは3月27日に始まり、山田は全143試合に出場しました. 143試合の中で32試合に本塁打を放ち、内4試合で2本、1試合で3本を放っています。10月4日までのシーズン日程の中で、バイオリズムの身体周期23日から見ると高調が8回、低調が8回現れます。
山田の身体バイオリズムと本塁打有無の関係をグラフ化した図を以下に示します。
縦軸の1.0のラインの赤丸●が本塁打を打った日、0のラインに並ぶのが本塁打無しの日です。
これで見るとバイオリズムと本塁打の相関は見られません。
身体バイオリズムと本塁打有無の関係をもっとわかりやすく表現したのが次のグラフです。横軸に身体バイオリズムの高調、低調を示しますが、一見してわかるように両者に相関は見られません。 従ってこれをロジスティック回帰分析しても近似線が得られません。
ちなみに1試合に3本塁打を打った8月22日中日戦の係数は-0.89、日本シリーズ3戦目は10月27日、その日の係数は-0.94です。
残念ながらバイオリズムとの相関は見つかりませんでしたが、収穫はExcelの日付計算に関する優れた機能です. Excelでは1900年1月1日を起点0として、年月日のシリアルデータを計算しています。 上記の山田選手のバイオリズム計算では、誕生日から試合日までの日数はそれぞれ1900年1月1日からのシリアル値を求め、それを引算して閏年を加味した正確な日数を求めています. バイオリズムの身体周期に関する計算では日数を23で割り、その剰余(余りの数)÷23から三角関数sinθに代入して係数を演算します(Excelの三角関数ではθ部分はラジアンなので注意)。
今回は打者にバイオリズムという周期性を当てはめることはできませんでしたが、一般のビジネスでは変動データの中に周期性が含まれることは多くあります。
周期性がわかればビジネスの予測に適用し、業績向上やロスの削減、人材や在庫の適正化に生かすことが可能になります。そのような事案がありましたらATACにご相談ください。
坂井公一